ウールリッヒ型筋ジストロフィーとは

ドイツのウールリッヒさんという人が1930年に最初に報告した病気です.

体幹から遠い位置にある手足の関節は柔らかく過度に伸展、屈曲します.しかし、脊柱や首、肩、股関節のような体幹から近い関節は拘縮して伸縮しません.

 

乳児期から筋力低下があり、発育・発達の遅れがあります.

股関節の脱臼がよくみられます.乳児期から手関節、足関節が柔らかく過度に伸展します.

かかとがハンマーのように突出しています.顔面筋の軽い罹患(りかん:病気にかかること)、高口蓋(こうこうがい:正常の上顎より高い)があります.

汗っかきが多いと言われています.お座りまでできる人が約半数、歩行可能となる人が約半数います.進行は停止しているか、進行していても緩徐(かんじょ:緩やか)です.

呼吸筋が侵されやすいので、人工呼吸器を必要とすることがあります.心臓はあまり侵されないといわれています.

患者さんは知的に優れているといわれています.

患者さんの数が少ないこともあって、まだ分子生物学的なアプローチは始まったばかりです.最近、鹿児島大学の樋口先生、イタリアのVanegas先生方は本症ではコラーゲンVIの欠損であることを報告されました.全ての患者さんで欠損があるかどうか、研究が進められています.

 

出典元:筋疾患百科事典